ポメラニアン は、他のスピッツ系の犬種と同じく、ロシアのサモエドが祖先犬とされています。
古くは作業犬や牧羊犬として活躍していた、大型から中型犬ほどの大きさでしたが、ドイツのポメラニア地方で小型化がすすめられ、愛犬家として知られるイギリスのビクトリア女王がドックショーに出陣し入賞を果たしたことで人気が高まりました。
ポメラニアンは丸みを帯びてフワフワした印象ですが、涙で潤んだ大き目と長い飾り気のついた巻尾、そして首周りの豪華な被毛が特徴です。
アンダーコートが厚いダブルコートで手入れそのものは難しくはありませんが、ポメラニアンの被毛はとても繊細で抜け毛も多いため、毎日のブラッシングや定期的なトリミングは欠かせません。
ポメラニアンは明るく活発で、人間に対しても他の犬に対してもフレンドリーな犬種です。
繊細な面があるため、甘やかしすぎると人間に過度に依存をし分離不安症になったり、玄関チャイムに反応して吠えたりすることもあるので、幼犬期からしっかり躾けましょう。
ポメラニアンは牧羊犬だった気質が今も残っているため、身体は小さくとも活動的で勇敢な犬種です。牧羊犬として羊を外敵から守る役割をしていた犬の血を引く引くポメラニアンは、飼い主さん家族や一緒に飼われている他の動物を外敵から守ろうとして、勇敢に立ち向かおうとします。
ポメラニアンの被毛カラーは白一色でしたが、現在ではカラーバリエーションの豊富な犬種です。
ブラック・ホワイト・ブラウン・チョコレート(暗い茶色)・レッド(明るい茶色)・オレンジ(さらに明るい茶色)・クリーム(ベージュに近い茶色)・ビーバー(濃いベージュ)・ブルー(灰色)・ブラックアンドタン(黒茶)・ウルフセーブル(灰色に黒の差し色)・パーティーカラー(混色)などがあります。
人気犬種になると珍しい毛色(レアカラー)に注目が集まるようになり、さらに改良が進み、大理石模様のマールと呼ばれるカラーに青い目の個体も生まれていますが、遺伝性疾患が出やすいため繁殖には認められておらず、ポメラニアンの被毛カラーとしては公認されていません。
もともとやや小さな中型犬だった犬を小型化して生まれたポメラニアンは、骨格が小さく骨も細いため、膝蓋骨脱臼や骨折を起こしやすくなったと言われています。
膝蓋骨脱臼とは、後ろ足の膝のお皿(膝蓋骨)がずれて脱臼する病気です。中には先天的に膝蓋骨脱臼を起こしているポメラニアンもいます。足を触ると鳴く、散歩を嫌がる、後ろ足をあげて歩くなど、ちょっとでもおかしいな?と思う様子が見られたら、直ぐに動物病院で診察をさせてください。
ポメラニアンに多い皮膚病として、脱毛症Xという原因不明の犬の脱毛症があります。首からお尻までの胴体の部分(頭部と四肢以外)に、痒みを伴わない左右対称性の脱毛を起こし、毛の抜けた部分は黒く色素沈着します。
原因不明で今のところはこれといった解決策もなく、遺伝性疾患の可能性が高いと考えられています。
肺へ空気をを送る器官が途中でつぶれてしまい呼吸がしづらくなる気管虚脱も、ポメラニアンが掛かりやすい病気として知られています。
特徴的なのは、ガチョウがガーガーと鳴くような音を出しながら咳をすることです。症状が酷い場合は呼吸困難を起こすこともあるので、ポメラニアンが苦しそうにしていたら、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。
頭蓋骨内に水(脳脊髄液)が溜まり、様々な神経症状が現れる水頭症もポメラニアンに多い病気の1つです。
ぼーっとして元気が無かったり、急に攻撃的になったり、病気が進行していくと、失明、歩行障害、グルグル同じところを歩きまわるなどの神経症状があらわれることがあります。
小型犬では先天的に発症しやすい病気ですが、脳炎や腫瘍などの後天的な要因で水頭症になってしまうこともあります。
その他、流涙症という、涙が止まらなくなってしまう病気もポメラニアンに多いとされています。鼻と目をつないでいる「鼻涙管(びるいかん)」が極端に狭かったり詰まったときに起きてしまう病気ですが、涙が出ていたら目元をこまめに拭いて、清潔にケアしてあげてください。