ペット情報サイトCoo(クー) 編集部|投稿日 2020-01-06
愛犬が急にフラフラとして、明らかにいつもと様子が違っていたら慌ててしまいますよね。人間と同じように、めまいや貧血を起こすこともありますが、平衡感覚をつかさどる神経に異常が起き、バランスが保てなくなる【特発性前提疾患】という病気のお話をさせていただきます。
特発性前提疾患は中高齢の犬にある日突然起こる病気で、平衡感覚を損なうことで、めまい・ふらつき・真っ直ぐに歩けなくなる・首が片方に傾く「捻転斜頚」、眼球がグルグル回る「眼振」が見られる、原因不明の病気です。
動物には、平衡感覚をつかさどる三半規管が耳の奥の方(内耳)にあります。三半規管には前庭神経が繋がっていて、前庭神経は平衡感覚をつかさどる神経なので、異常が起きると世界がグルグルと回ってしまうような感覚に陥り、バランスが保てなくなります。
特発性前庭疾患になると、平衡感覚が失われてバランスを保つことが出来なくなるため、めまいやふらつきが起こり、同じ方向にグルグルと歩きまわったりします。発症から24時間以内に症状のピークがあり、酷い場合は立ち上がれず横になって転んだまま一方向に回転したり、嘔吐することもあります。
首の筋肉が低下することで、首を傾けたままになったり、眼球がグルグルと回転したりという症状も見られます。
こっらの症状は3日程度で徐々に改善し、一般的には1か月程度で症状が消失し回復すると言われていますが、中には首の傾きが残ってしまったり、病気が再発する場合も稀にあります。
中内耳炎、頭部外傷、耳の中や脳の腫瘍、薬物中毒などが原因で前提疾患が起こることもありますが、原因不明の特発性前庭疾患の場合は、諸検査から他の病気を除外することが出来たとき、犬の年齢や経過などを鑑みて診断します。
特発性前庭疾患は中内耳炎の次に多い前庭疾患になります。
特発性前庭疾患は原因不明の病気のため、一般的に治療法はないと言われていますが、症状の軽減を目的とした対処療法を行います。
栄養を補うための補液や、必要に応じて抗生剤や抗めまい薬の投与をします。また、フラフラしている状態で歩くと危険なので、ぶつかっても痛くないように、家具を緩衝材などでカバーしたり、サークルなどで囲いを作り、座布団やクッションなどを敷くなどしてあげましょう。
殆どの場合は1か月ほどで回復する病気ですが、神経症状が出ている場合はとても危険なので自宅での介護が必要です。お仕事などをしている場合は付きっきりというわけにはいかないかもしれませんが、ご家族や掛かりつけの獣医さんに相談するなどして、症状が緩和するまでは出来るだけ側で見守れるようにしてあげましょう。