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ペット情報サイトCoo(クー) 編集部|投稿日 2019-05-22
「猫」が俳句の季語になっているのはご存知ですか?
まだまだ肌寒い春先にねこは発情期を迎え、それは夏まで続きます。
そのことから、「猫の恋」「恋猫」という言葉は、早春を表す季語とされているのですが、季節に合わせて発情するのはメスだけで、オスはメスの発情に刺激を受けて性的な行動を取っているにすぎません。
基本的には一年中スタンバイOKなオスねこは、メスからの刺激がなければ性的に興奮することは殆どないのです。
メスねこの発情時期は日照時間に左右されます。昼間の時間が長くなると発情が訪れますが、環境によっては発情期が変化することもあります。
太陽の光だけではなく、人口的な照明によってもそれは引き起こされるので、人間と暮らし、夜も明るい室内にいるメスや、コンビニエンスストアの店先など、夜間も明るい照明の中にいるメスは、季節感が狂って発情期が長くなるのです。
メスの発情は、卵巣内にある卵胞で卵子が作られることによって起こります。人間の場合は周期的に卵子が排出されますが、ネコの体は交尾をしないと排卵が起きない「交尾排卵」という仕組みになっています。このため、交尾がなければ卵子はそのまま変性し、発情は止まります。
さらに、周期的に発情する場合と違って、次に発情するまでの期間はネコによってかなりの個体差があります。また、上述したようにメスねこの暮らす環境によっても左右されます。
メスは様々な方法で、発情を周囲にアピールします。
普段とは違う、独特な大きな鳴き声。また、周囲のあらゆるものに体をすり付け、発情を伝える自分のニオイを残します。
さらにオスの前でゴロゴロと地面を転がり、オスの聴覚・嗅覚・視覚を刺激して、オスを性的に興奮させます。
こうして書くと、ネコのメスってなかなかですね(笑)
性的に成熟したオスねこは、メスの発情の気配を感じると興奮し、交尾の準備を始めます。オスが発情すると、まずは尿スプレーの回数が増えます。これはメスだけではなく、周囲のオスにも自分の存在をアピールし、プレッシャーをかける意味もあります。
また、メスの鳴き声にこたえるように、オスも似たような大きな声で鳴きながらメスを求めて歩き回ります。
こうしてオスが発情すると、テストステロンという男性ホルモンが急激に増加し、男性ホルモンには攻撃性を支配する要素もあるので、この時期のオスは攻撃的になります。さらにメスを求めて歩き回り、オスねこ同士の接触も増えるのでケンカが多くなるのです。
メスの発情期の鳴き声の合間に、激しく鳴き合うオス同士の声が混ざるのはこのためです。
攻撃的になったオスは、時にはメスそっちのけで激しいケンカを繰り広げることもあります。
発情していない時期のメスねこは、基本的にオスに近寄られるのを嫌がります。もし、別のメスの刺激で興奮しているオスが近づいてきたら、攻撃して追い払うでしょう。
発情直前の時期になると、メスの態度はかなり柔らかくなり、オスが近づいてきても攻撃しなくなります。
さらに、オスがメスの首筋をかんだり、体の上に乗るマウンティングというような性的な行動をしても、いったんは受け入れますが、最終的な交尾に至る行為は拒絶します。
発情期に入ると、メスの方から交尾を許すポーズを見せるようになります。胸とお腹を地面につけ、腰を持ち上げます。
この姿勢のまま、バタバタと足踏みするようなら準備はOK。発情のクライマックスを迎えるころには、大人しいメスでも自分からオスに近寄っていきます。
ネコは犬に比べ相手を選り好みする傾向が少ないと言われていますが、ネコは発情期に複数のオスを受け入れることも可能な一妻多夫の生き物であるのに対して、犬の祖先のオオカミは互いに一妻一夫を守るのだそうです。